© 2017 天空の芸術祭実行委員会

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天空の芸術祭開催によせて
 
東御市は長野県の東信地方に位置する人口約3万人の市です。北は浅間連峰から湯の丸高原、そして市の真ん中を千曲川が流れ、南は立科へとつづく、豊かな自然に囲まれた土地です。芸術祭は、その東御市の南部に位置する北御牧地区を中心に行われます。標高750メートルの台地の上では、天と地が一体となり呼吸しあっているように感じられ、まさにこの北御牧こそ天空と呼ぶにふさわしいとイメージしました。御牧とは、平安時代から官牧で朝廷に名馬を献上したことからついた名前であり、八重原には蓼科山の山麓より用水路(八重原堰)があるなど、歴史ある地でもあります。 ここで営まれる人々の暮らしと、アートを通して次の時代に何が残せるか。地域とアートが共にこれからの未来を見つめる「天空の芸術祭」を開催します。
 
Life is ART
 
今年の天空の芸術祭のコンセプトは Life is ART「生活は芸術だ」です。「生活は芸術だ」というと訝しく思われる方もいるかもしれません。かの天才芸術家、岡本太郎さんの「芸術は爆発だ!」を思い起こす方もおられるでしょう。 私たちの暮らしの中には、八百万の神や土着的な日本の思想、お祭りなど、代々受け継がれてきたものがあります。そんな自然との調和の中に、現代という時代を問うヒントがあるのではないでしょうか。現代美術、コンテンポラリー・アートと呼ばれる作品群も、地域の中の民俗学、お祭り、自然信仰、海なら海の神、山なら山の神を敬う信仰が造形物をつくっていくことに通じる部分があるように思われます。 よく考えてみると昔ながらのお祭りなどは現代のパフォーマンス・アートにも通じる部分があります。地域の市民が自然との共生の中で作り上げたお祭りも、再び地域の中で市民と芸術家が一緒になって新たなものを作り上げていくという発想が生まれて来ます。アートとは地域の自然や生活から生まれて来たお祭りの様なものではないでしょうか。外部の人はその環境で作り上げた独創的な「事」や「場」に立ち会いたいと観光に来るのでしょう。
さて、今私たちの暮らしの環境に視点を向けてみると、水という資源、山々の景観、田園風景、生活に欠かせない様々な地域資産は長い祖先からの知恵によって形作られて来ました。今、経済効果に偏りすぎた現代で、これをどの様に捉えて多様な現代に再活用できるのか考えることもこの芸術祭の意味でもあります。芸術家たちの作品は様々なヒントを与えてくれるかもしれません。
例えば水に対してアプローチする芸術家の作品から水に対する愛着や関心がよみがえってくる。それはもう一度水を考えるきっかけとなり自然環境や村の暮らしという、未来に繋がっていくのではないでしょうか。 型にはまった思考を解き放し、自由な気持ちで共に体験していただきたいと思います。
「天空の芸術祭」は地域の中の芸術祭のひとつです。しかしこういったビジョンを明確にもち、地域の人とアーティストとの交流を通して、自然や地域をもう一度見直し、新しいコミュニティが信頼できるものをつくっていく。
そういう持続可能な時代のモデルとして、受け継がれていくことを願います。
 
天空の芸術祭 総合ディレクター
保科豊巳(東京藝術大学副学長)